日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
非切除予定肺葉に部分肺静脈還流異常症を有する肺癌の手術―選択的肺動脈閉塞試験による術後右心不全リスク評価の有用性について―
横田 圭右深井 一郎設楽 将之
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2019 年 33 巻 1 号 p. 58-62

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抄録

左―右シャントを形成する稀な血管奇形の部分肺静脈還流異常症(PAPVC)が非切除肺葉に存在する場合,肺葉切除はシャント率を増大させ右心不全を発症するリスクがある.今回著者らは,右上葉肺静脈が上大静脈に還流するPAPVCを合併した78歳男性の右下葉肺癌症例を経験した.術後の右心負荷リスク評価のため,術前に選択的肺動脈閉塞試験を施行した.下葉肺動脈の閉塞は技術的に困難なため,中間肺動脈を閉塞し,より厳しい中下葉切除後の条件で評価した.実際には,肺動脈閉塞前後で右房と異常還流部より遠位の上大静脈の2ヵ所で酸素飽和度を測定した.O2 step upは3.2%から6.2%と上昇しシャント率は増大したが,有意とされる7.0%を下回り,また閉塞後の肺体血流比は1.07と,血行再建を要する1.5を下回り,右下葉切除は安全に行えると判断し得た.術後2年3ヵ月経過し,右心不全の徴候なく経過は良好である.

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