2019 年 33 巻 1 号 p. 7-11
前立腺間質性腫瘍は前立腺に固有な間質から発生する腫瘍であり,2004年のWHO分類にてStromal tumor of uncertain malignant potential(STUMP)とStromal sarcoma(SS)に分類される.STUMPは組織学的に核分裂像,壊死,間質の異常増殖を認めない点でSSと鑑別される.STUMPは良好な経過をたどることが多いのに対しSSの3年生存率は10%と予後不良である.症例は75歳男性.72歳時,約100×80 mmの前立腺間質性腫瘍に対して腫瘍摘出+直腸切除術を施行した.術後病理にて腫瘍の周辺部がSTUMP,中心部がSSと診断された.前立腺間質性腫瘍の術後,それぞれ1年5ヵ月,2年7ヵ月経過して認められた肺転移に対して手術を施行した.今回われわれは前立腺間質性腫瘍から異時性に肺転移を認めた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.