2019 年 33 巻 4 号 p. 460-465
症例は57歳女性.健診での喀痰細胞診で異常を指摘.精査の結果,気管分岐部に隆起性病変を認め,生検の結果扁平上皮癌と診断された.病変は気管分岐部から右は4軟骨輪,左は2軟骨輪に及んでおり,気管分岐部切除+右肺上葉管状切除を施行し,再建にはdouble-barrel変法を用いた.術後は吻合部の虚血や狭窄所見などの合併症を認めず経過し,現在術後2年半無再発生存中である.double-barrel変法による気管分岐部再建は吻合部の張力を最小限とし,断端の血流を確保することができ,切除範囲が比較的広い分岐部肺癌の症例にも有用と思われた.