2019 年 33 巻 4 号 p. 466-470
58歳女性.S状結腸癌肝転移に対しS状結腸切除,肝部分切除(19ヵ所)を施行した.1年後,肝転移に対しラジオ波焼灼術(Radiofrequency ablation:RFA)を施行.RFA後28日目に38℃台の発熱と右胸水を認め入院した.胸水中の総ビリルビン23.5 mg/dlと高値であったため胸腔内胆汁瘻と判断し,胸腔ドレナージと内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(Endoscopicnasobiliary drainage:ENBD)を行った.炎症所見は改善したためドレナージ開始6日後に胸腔ドレーンを抜去したところ発熱が再燃した.その後胆汁コントロールが得られるまで30日間の胸腔ドレナージを要した.
胸腔内胆汁瘻はRFA後の合併症として極めて稀であるが,適切な治療介入がないと重篤化し得る.胆道ドレナージによる胆汁性排液のコントロールとそれまでの胸腔ドレナージ継続が必要である.