2019 年 33 巻 5 号 p. 578-586
3D医用ワークステーションの普及により,CT画像の三次元化が容易になった.血管走行のバリエーションが多い肺外科手術では,肺動静脈を分離した三次元画像を用いたシミュレーションは広く行われている.しかし,現在国内で販売されているワークステーションは,肺動静脈を分離した三次元画像作成のために原則造影CTを必要とし,喘息,アレルギー,腎機能低下症例等において,その施行が躊躇される場合,作成は困難であった.近年,呼吸器分野におけるワークステーション利用法の一つとして,末梢肺野病変に対する気管支鏡検査における仮想気管支鏡が,代表例として挙げられるが,こちらは,気管・気管支内の空気,含気のある肺組織を陰性造影剤として単純CTから作成されることが多い.肺血管周囲にも空気が存在することに着目したところ,単純CTからでも肺動静脈を分離した三次元画像作成が可能となったため,その方法について述べる.