日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
原発性肺癌との鑑別が困難であったメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の1切除例
米井 彰洋森山 裕一
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2019 年 33 巻 7 号 p. 723-729

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抄録

メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)は1991年に報告されて以降,多数の報告が相次ぎ,現在では独立した疾患概念として認識されているものの,肺病変をきたす症例はあまり多くなく,さらに肺孤立性病変のMTX-LPD症例の報告は稀である.

症例は関節リウマチでメトトレキサート内服中の68歳女性.27 mmの原発性左下葉肺癌疑いで紹介となった.気管支鏡検査にて確定診断は得られなかったが,各種画像検査より肺悪性腫瘍を疑い胸腔鏡下左下葉切除を行った.摘出標本の病理診断によりび慢性大細胞型B細胞リンパ腫と診断され,患者情報より追加したEBV-encoded small RNA in situ hybridization(EBER ISH)が陽性であったため,MTX-LPDと診断された.MTX-LPDであればMTX中止のみで腫瘍の縮小あるいは消失を期待できる.MTX内服中の患者に肺腫瘍が指摘された場合には,本疾患も鑑別にあげ,治療計画を立てることが重要と思われた.

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