日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
外科的治療が奏効したCastleman病の1例
牧角 倫之介上田 和典白石 恵子古川 克郎
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2020 年 34 巻 1 号 p. 62-66

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抄録

症例は73歳女性.全身倦怠感の精査で高γグロブリン血症とIL-6高値を伴う多発性リンパ節腫大を指摘された.多中心性Castleman病が疑われステロイド治療が行われるも病状は悪化した.診断および病勢コントロールを目的に,最も腫大していた右上縦隔リンパ節を胸腔鏡下に摘出したところ,上記症状は改善した.病理組織学的所見では,リンパ濾胞には血管の増生や樹状細胞が目立ち,マントル層のリンパ球は同心円状の構造を示すなど硝子血管型の特徴を認めた.また,濾胞間には多数の形質細胞の浸潤を認め,形質細胞型の特徴もみられた.以上より,混合型のCastleman病と診断した.特発性多中心性Castleman病において,薬物治療による対症療法が中心とされるが,症状緩和のため主病変の外科的切除などの局所治療も考慮すべきである.

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