非常に稀な右縦隔型底区肺動脈(A7)の症例を報告する.61歳,男性,右下葉の肺腺癌,cT2bN0M0 Stage IIAと診断された.術前の3次元CT(three-dimensional computed tomography,3D-CT)にてA7が右主肺動脈から直接分岐し,中間気管支幹から内側に離れて心囊外背側を下行し下葉に入る肺動脈の解剖学的破格を認めた.胸腔鏡下右下葉切除および系統的リンパ節郭清術を施行した.破格A7を安全に確認し切離することができたが,3D-CTにて事前にその血管の存在を把握していたことで,術中の予期せぬ出血を回避できたのであろうと考える.