日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
隣接臓器合併切除で完全切除が得られた肺原発横紋筋肉腫の1例
中嶋 朔生吉峯 宗大田中 俊樹村上 順一佐野 史歩濱野 公一
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キーワード: , 横紋筋肉腫, 手術, 成人
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2020 年 34 巻 7 号 p. 757-764

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抄録

肺の悪性腫瘍における肉腫の頻度は約0.2~2.0%とされ,その中でも成人発症の肺原発横紋筋肉腫は非常に稀である.今回,我々は成人発症の肺原発横紋筋肉腫に対して完全切除を成し得た1例を経験した.症例は70歳代の男性.咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部エックス線検査で左上肺野に腫瘤影を指摘された.CT検査で左上葉S1+2に69×56 mmの腫瘍を認め,CTガイド下肺生検でspindle cell sarcomaが疑われて当院へ紹介となった.外科的切除の方針とし,左上葉切除に加え,左下葉S6部分切除および第3・4肋骨合併切除で完全切除を行い得た.病理組織検査で肺原発横紋筋肉腫と診断された.術後24ヵ月が経過する現在まで無再発生存中である.成人発症の肺原発横紋筋肉腫は予後不良な疾患であるが,外科的完全切除が唯一の治療法であり,隣接臓器合併切除などを要しても完全切除を達成できれば長期生存の可能性がある.

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