日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
有瘻性アスペルギルス膿胸に対し遊離大網充填・胸郭形成術を施行した1例
中村 勝也生田 安司内山 明彦
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2021 年 35 巻 6 号 p. 676-681

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抄録

有瘻性アスペルギルス膿胸に対し遊離大網充填,胸郭形成術を施行し治療せしめたので報告する.症例は78歳,女性.肺非結核性抗酸菌症加療中に左気胸を発症した.左上葉切除後で強固な癒着で肺切除は行えず,フィブリン糊とポリグリコール酸シートを重層に挿入し胸腔鏡下肺瘻閉鎖を施行した.半年後に左有瘻性膿胸に至り,開窓術を施行した.開窓後Aspergillus fumigatusを認め,有瘻性アスペルギルス膿胸に至った.ミカファンギンナトリウムの投与と全身麻酔下胸腔鏡下掻爬術を行い,約半年後に遊離大網充填,胸郭形成術を施行した.肺瘻が頭側高位で複数あり,血管吻合を伴う遊離大網充填術が必要であった.術後約4年7ヵ月経過するが再発はない.遊離大網充填術は目的部位に十分量の大網を充填することが可能であり,本例のように死腔が大きな場合,胸郭形成術で膿胸腔の縮小化を図り,遊離大網充填術は有用な術式であった.

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