2021 年 35 巻 6 号 p. 682-686
症例は67歳男性.11ヵ月前に胃癌,直腸癌にて幽門側胃切除と低位前方切除を施行された.術後の経過観察目的のCTで右上葉に経時的に増大する結節影を認め当院へ紹介となった.気管支鏡検査を施行したが確定診断に至らず,原発性肺癌もしくは転移性肺癌を疑い手術を施行した.術中迅速診断で低分化腺癌(原発性肺癌)と診断され,右上葉切除+ND2a-1を施行した.病理組織診断の結果,絨毛癌様の形態を伴った肺腺癌(pT1bN0M0 stage IA2)と診断された.術後は補助化学療法なしで無再発生存中である.