日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
右上葉転位気管支・分葉不全を伴う右上葉肺癌に対して胸腔鏡下上中葉切除術を施行した1例
酒井 絵美中原 和樹喜納 五月宮永 茂樹
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2021 年 35 巻 6 号 p. 718-723

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抄録

症例は62歳男性.検診で胸部異常影を指摘された.病変は右S1に18 mm大の結節影として存在し胸膜嵌入を認めた.画像所見よりcT1bN0M0の肺癌疑いで手術の方針とした.

胸部CT所見では,右上中葉間は完全不全分葉であり右上葉気管支は右B1a+B2aで形成されており,右B1b+B2bとB3が中葉気管支から分岐する気管支分岐異常を認めた.腫瘍に流入するB1bは中葉気管支から分岐していたことから,予定術式は右上中葉切除術とした.手術所見は,右上葉の腫瘍部の楔状切除を行い術中迅速病理診断でadenocarcinomaと診断されため,完全胸腔鏡下右上中葉切除術+ND2a-1を施行した.術前の気管支・肺動静脈の3D-CTによる再構成画像を作成し術前検討を行うことは,それらの変異を確認できるため,安全な手術の遂行に寄与すると考えられる.

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