2022 年 36 巻 2 号 p. 144-149
症例は79歳の男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,当院紹介となった.胸部CTで右上葉に結節影を認め,経気管支鏡下肺生検で腺癌と診断された.気管支鏡検査で気管右壁から発生する異常気管支を認め,右上葉気管支は通常通りに分岐していたため過剰気管気管支と判断した.原発性肺腺癌cT1bN0M0,Stage IA2と診断し,右上葉切除術を施行した.過剰気管支は奇静脈弓よりわずかに頭側のレベルで気管右壁から分岐し,奇静脈弓の尾側を通過して右上葉縦隔側へ走行していた.分岐部の視野を確保するため奇静脈を先に切離した上で,過剰気管支を処理した.過剰気管支を有する肺癌手術症例の報告は少なく,過剰気管気管支についてはこれまで本邦からの報告はない.3D-CTは気管支分岐異常の検索やそれに伴う肺血管走行異常の確認,位置関係の把握に有用であった.