日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
高度漏斗胸に対してCombined Ravitch and Nuss Procedureを施行後に側弯の進行を認めたLoeys-Dietz症候群の一例
杉野 功祐政井 恭兵大久保 祐加勢田 馨菱田 智之朝倉 啓介
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2024 年 38 巻 5 号 p. 470-475

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抄録

Loeys-Diez症候群(LDS)はMarfan症候群類縁の先天性結合織疾患で,骨格系の異常として漏斗胸を併存することが知られている.我々は漏斗胸手術後に側弯の進行を認めたLDSの一例を経験した.患者は9歳,男児.5歳時に遺伝子検査でLDSと診断された.Haller index 9.81の高度漏斗胸とCobb角8.5度の軽度側弯があり,漏斗胸に対してRavitch法とNuss法を組み合わせた術式(Combined Ravitch and Nuss Procedure:CRN法)を施行した.左右の肋軟骨を一部分節切除した後に2本のチタンバーを挿入し胸骨挙上術を施行した.術後のHaller indexは3.57となり,漏斗胸の改善が得られたが,側弯はCobb角34.2度に増悪した.術後早期に側弯の進行を認めたため,側弯症に対して装具治療を行った.術後4ヵ月で側弯の改善がみられ,現在経過観察中である.側弯症を合併する漏斗胸の場合,漏斗胸治療により側弯の進行を認める可能性がある.本症例では結合組織の脆弱性が背景にあり,漏斗胸の矯正が過度の側弯変形を招いた可能性が示唆された.

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