2025 年 39 巻 4 号 p. 342-347
症例は48歳,男性.202X年6月に左鼠径部痛で近医を受診し,鼠径ヘルニアの診断で当院へ紹介され,CTで両側鼠径ヘルニアと偶発的に15 cm大の前縦隔腫瘍を指摘され,当院呼吸器内科へ紹介された.CTガイド下生検の結果,奇形腫疑いの診断で当科へ紹介となった.当科でも202X年8月に再度CTガイド下生検を行ったが,確定診断には至らず,202X年9月に胸骨正中切開,左肋間開胸下に腫瘍摘出術を行った.病理組織診断は軟骨肉腫であり,切除断端陽性の診断であった.202X年11月に追加切除を行い,遺残腫瘍なしの診断であった.現在,初回手術より1年経過し,無再発生存中である.