2025 年 39 巻 6 号 p. 533-538
症例は,35歳女性.第1子妊娠14週に呼吸困難を主訴に受診され,右II度初回気胸の診断で胸腔ドレナージのみで15日目に軽快退院された.妊娠19週,再度右II度の気胸を指摘され,前回同様すぐにわずかな気漏となるが閉鎖せず,妊娠21週の入院15日目に手術を全身麻酔,分離換気,側臥位,胸腔鏡下に施行した.術中気漏は確認できず,横隔膜面は,褐色調の変化はみられたが積極的に月経随伴性気胸を疑う所見ではなかった.肺尖部に胸帽針等大の多数のブレブと中葉に2 mm大のブレブを認めたため,補強材付き自動縫合器で2ヵ所肺部分切除を施行した.病理検査で,月経随伴性気胸に矛盾しないと診断された.術後5日目に退院され,妊娠39週に健児を出産した.妊娠中に発症し診断される症例は限られるため考察を加え報告した.