2026 年 40 巻 4 号 p. 389-394
リンパ過形成を伴う小結節性胸腺癌(Micronodular thymic carcinoma with lymphoid hyperplasia;以下MNCLH)は,WHO分類(第5版)において扁平上皮癌の亜型に分類される稀な疾患である.症例は61歳男性.他疾患の精査中,偶発的に前縦隔腫瘍を指摘された.胸腺腫疑いとして,ロボット支援下胸腺摘出術を行った.腫瘍は組織学的には多数のリンパ濾胞を背景として,軽度の細胞異型を伴う腫瘍細胞が小結節状に増殖しており,免疫組織化学染色ではAE1/AE3陽性,p40陽性,CK5/6陽性,p63陽性,CD5陽性,CD117(c-kit)陽性であった.また,背景にはTdT陽性の未熟T細胞がほとんど見られなかったことから,MNCLHと診断した.術後は追加治療を行わず,術後11ヵ月時点で無再発生存中である.