5 巻 (1991) 7 号 p. 782-787
感染性肺嚢胞手術時に発見された左心膜完全欠損症に対し, 一期的に肺嚢胞切除と心膜形成術を施行したので報告する.症例は53歳男性で消化器疾患の治療目的にて入院した.入院時より左側に巨大肺嚢胞が存在したが, 消化器手術後に感染を併発したため手術を施行した.開胸時に左側心膜の完全欠損を発見した.肺嚢胞切除後に肺容積の変化が予想されたため, Marlex meshを用いて約15×10cmにわたり左側心膜を形成し, 心臓の偏位を予防した.術後経過は良好であった.
肺疾患に対する手術が増加するに従い, 心膜欠損を合併した症例に遭遇することが少なくないと思われる.術前に本症を可能な限り診断し, 肺手術により肺容積の変化が予想される場合は, 肺手術と心膜形成を一期的に施行することが望ましいと考えられる.