1992 年 6 巻 4 号 p. 521-526
症例は2歳11ヵ月の男児.出生時特に異常所見はなかったが, 生後3ヵ月の胸部単純X線写真で右上縦隔の拡大を指摘された.その後右上葉無気肺, 肺炎等の呼吸器症状が出現し入退院を繰り返した.胸腺肥大の疑いでステ獄イド負荷療法を2回施行したが, いずれも無反応であった.
2歳9ヵ月時, 胸腺腫の疑いで手術を施行した.び漫性に肥大した胸腺を認め胸腺全摘除術を施行した.摘出した胸腺は大きさ10×7×6cm, 重さ210gであった.病理組織は正常胸腺構造を呈し, 観察した範囲内に胚中心の形成はみられなかった.最終診断はTrue thymic hyperplasiaとした.