日本呼吸器外科学会雑誌
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末梢部小型肺癌切除症例における縮小手術・胸腔鏡下手術の適応性について検討
田尻 道彦石井 治彦山形 達史石橋 信
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1996 年 10 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

当センターにおいて切除した原発性肺癌680例のうち, 腫瘍最大径3cm以下の末梢部肺癌168例を対象とし, 縮小手術や胸腔鏡下手術の標準術式としての可能性について考察した.最大径2<, ≦3cmではn2が腺癌26.4% (19例), 扁平上皮癌12.5% (2例), pm1は腺癌15.3% (11例) 認められ, 肺葉切除と標準的リンパ節郭清が必要と思われた.最大径1<, ≦2cmでは, n2は腺癌のみ13.6% (6例), pm1は腺癌6.8% (3例), 扁平上皮癌12.5% (1例) 認められ, 肺葉切除が必要と思われ, 特に腺癌の場合は標準的リンパ節郭清が必要と思われた.最大径1cm以下では, 全例リンパ節転移も肺内転移もなく縮小手術は可能と思われた.現時点では, リンパ節郭清の問題が未解決であり, 最大径1cmを超える原発性肺癌では, 縮小手術や胸腔鏡下肺葉切除の適応とするには, 臨床病理組織学的諸因子による十分慎重な検討を要すると思われる.

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