10 巻 (1996) 7 号 p. 799-802
症例は52歳, 男性.1995年10月の人間ドックで右上肺野の異常陰影を指摘され, 精査のため入院となった.胸部CTでは右S2領域に径2cmの結節影を認め, 胸膜陥入などの収縮性変化は見られず, 縦隔・肺門にリンパ節の病的腫大もなく, 炎症性肉芽腫と思われたが, 2回の気管支鏡下擦過細胞診で確定診断に至らず, 開胸肺生検目的で当科紹介となった.胸腔鏡補助下に腫瘤を含めた右上葉部分切除を行い, 手術標本で腫瘤は肺クリプトコッカス症と診断された.
本症例は悪性腫瘍・膠原病・免疫不全などの基礎疾患はなく, 鳥類のペットの飼育歴もなく, 職業上 (獣医学部教授) 同菌に暴露された可能性が示唆された.
術後は抗真菌剤の投与なしで経過観察中であるが, 再発の徴候は認めていない.