12 巻 (1998) 2 号 p. 115-120
手掌多汗症は, 職業上や社会的にしばしば問題となる疾患で, 胸腔鏡下交感神経節切除術の対象疾患として, 最近急速に注目されてきている.我々は, 麻酔体位, トロッカーの留置位置, 切除方法などに工夫を加え, オリジナルに開発した直角鉗子を用い, 一期的に両側胸部交感神経節 (T2-T3) 切除を17例に行った.手術手技は, 全身麻酔, 気管内挿管分離換気下にて, 両上肢を挙上し, 30度程の半坐位をとった.T1直下, T2, T3, T4に高周波焼灼を加えたのち, 系統的にT2-T3を切除した.体位変換を行わずに, 両側の交感神経節切除が, 安全確実に行えた.全例, 術直後より速やかに症状は消失し, 腋窩および頚部から第3肋間レベルの発汗も抑制され, 創も目立たず, 術後疼痛も軽度で, 患者の満足が得られた.術後合併症として, 腹部などに代償性発汗が発生する頻度が高いこと (65%) より, 術前のインフォームドコンセントを十分行っておく必要がある.