日本呼吸器外科学会雑誌
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小細胞肺癌に対する外科治療
井上 匡美三好 新一郎藤井 義敬安光 勉古武 彌宏森 隆井内 敬二桑原 修前田 元松田 暉
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1998 年 12 巻 2 号 p. 129-135

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抄録

小細胞肺癌91切除症例をretrospectiveに解析し, その治療成績から外科治療の適応と早期症例に対する化学療法の必要性について検討した.3年生存率・5年生存率はそれぞれ, overallで40.8%・34.0%, 臨床病期別に c-stage I53.5%・45.6%, c-stage II19.2%・19.2%, c-stage IIIA 12.5%・0%, 病理病期別に p-stage I 55.8%・47.0%, p-stage II 50.0%・50.0%, p-stage IIIA 4.5%・0%であった.また, p-stageI-IIの絶対的または相対的治癒切除例では, 化学療法を施行した症例の3年・5年生存率は61.4%・57.0%で, 施行しなかった症例の14.8%・14.8%に比し予後良好で, 4コース以上の化学療法を施行した症例の3年・5年生存率は87.5%であった.これらの結果から, 小細胞肺癌に対する手術適応はc-stage Iまたはp-stage I-IIまでの症例にあると考えられ, これらの症例に対しても周術期に4コース以上の化学療法が必要と思われる.

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