日本呼吸器外科学会雑誌
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巨大腫瘤を呈した Chronic Expanding Hematoma の1例
栄福 亮三中西 良一大崎 敏弘吉野 一郎吉松 隆安元 公正
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キーワード: 慢性出血性膿胸, 肺結核
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1998 年 12 巻 2 号 p. 146-150

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抄録

症例は66歳, 女性.41年前に肺結核に対し左人工気胸術の既往がある.今回, 呼吸困難と胸痛を主訴に受診された.画像にて, 縦隔を圧排し, 左胸郭を占拠する腫瘤性病変を認め, 審査開胸ならびに摘出術を行った.切除標本にて悪性所見はなく, Chronic Expanding Hematoma (CEH) と診断された.病巣内には, 呼吸運動や咳などの物理的因子により長期に渡り出血を繰り返した結果起きた出血巣が多数存在し, これらがこの巨大腫瘤の成因と考えられた.CEHは胸部手術後の患者にみられるが, 鑑別診断として肺癌, 悪性リンパ腫があり, 画像診断上に苦慮することが多い.手術によって初めて診断がつき, 劇的な症状の改善がみられることから, 積極的に外科治療が必要であると考えられる.

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