日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
肺海綿状血管腫の1切除例
中村 昭博内山 貴堯山岡 憲夫森永 真史井手 誠一郎山下 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 12 巻 2 号 p. 167-171

詳細
抄録

きわめて稀な肺海綿状血管腫の1切除例を経験したので報告する.症例は46歳, 男性.検診で胸部異常陰影を指摘された.咳嗽や血痰などの呼吸器症状は認めていない.胸部X線写真では右下肺野に約5cm大の淡い境界不鮮明な腫瘍陰影を認めた.胸部CTでは5.5×4.0×4.0cm大で, 境界明瞭, 辺縁不整, 内部は均一であった.手術所見として, 肺底区中央部に弾性軟の腫瘤を触れ, 横隔膜面にやや突出しており, 暗赤色で肉眼的に血管腫と思われた.摘出標本では5.5×5.0×4.0cmの球形の腫瘤であるが, 明らかな被膜はみられなかった.病理所見として, 赤血球の充満した海綿状の血管の集簇であり, 海綿状血管腫と診断した.

著者関連情報
© 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top