日本呼吸器外科学会雑誌
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急性膿胸に対する胸腔鏡下外科治療の検討
前 昌宏大貫 恭正佐藤 和弘笹野 久左子石倉 俊榮塩入 誠信村杉 雅秀新田 澄郎
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キーワード: 急性膿胸, 胸腔鏡下手術
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1998 年 12 巻 2 号 p. 172-176

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抄録

急性膿胸症例に対して胸腔鏡下に掻爬, ドレナージを行いその治療効果を検討した.対象は急性膿胸が胸腔ドレナージ, 洗浄にて充分な改善の得られなかった5症例である.胸腔鏡下手術は発症より平均28日で行われた.全例に対し胸腔鏡下に腔内を観察し膿胸腔隔壁の開放, 醸膿膜の掻爬, 洗浄, ドレナージを施行した.平均手術時間173分, 出血量304mlで, 輸血は要しなかった.1例は術後もドレーンよりの排菌が持続したが, 5例とも経過良好で平均術後32日に退院となった.急性膿胸のフィブリン析出期に, 炎症が持続し肺の膨張不良と膿胸腔の多房化によるドレーン排液量の低下が認められる場合に, 胸腔鏡下手術は有効でありこれを施行すべきと考える.

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