日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
胸骨原発軟骨肉腫に対する胸壁再建術の経験
仲宗根 朝紀君野 孝二山下 秀樹岸川 正大
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 12 巻 2 号 p. 193-198

詳細
抄録

症例は71歳, 女性.主訴は前胸壁腫瘤.1996年9月, 腫瘤の増大と軽度の痛みを伴い精査のため当科へ入院した.胸骨上半部に, 11×9cmの表面平滑で弾性硬, 可動性のない腫瘤を認めた.胸部MRIでは胸骨柄から胸骨体部, 両鎖骨まで浸潤している腫瘍性病変を認めた.全身骨シンチでは, 胸骨柄部に強い集積像を認めた.他臓器に異常所見は認めなかった.穿刺吸引細胞診により胸骨原発軟骨肉腫が疑われた.手術は胸骨柄部の腫瘍と共に腫瘍縁より約3cm離して第4肋骨付着部より上部の胸骨体部, 両側鎖骨内側1/2, 両側第1, 2, 3肋骨の胸骨側を合併切除した.胸壁再建は2重にしたsoft Marlexmeshを用いて行い, 両側の大胸筋弁で補強した.肺機能検査や頚部, 上肢の運動機能は手術前後で変化は認めなかった.術後9ヵ月再発の兆候なく健在である.

著者関連情報
© 日本呼吸器外科学会
前の記事
feedback
Top