日本呼吸器外科学会雑誌
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高リスクを伴ったcT1N0M0肺癌に対する胸腔鏡下肺部分切除術の成績
櫛部 圭司根津 邦基東条 尚高浜 誠谷口 繁樹北村 惣一郎
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1998 年 12 巻 4 号 p. 482-487

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抄録

高リスクを伴い開胸術の施行が困難と判断された末梢性のcTIN0M0肺癌12例に対し胸腔鏡下肺部分切除を施行した.cTlN0M0肺癌の胸腔鏡下肺部分切除の適応としては, 胸部CT上腫瘍の最浅部の距離が胸膜から2cm以内であること, そして低肺機能 (FEV1.0800ml以下), 低左心機能 (EF0.3以下), ECOGのperformance status scaleでIII度以上の高齢者 (80歳以上) のいずれかを満たす症例を対象とした.術後ドレナージ期間は2日から10日で平均5.4±3.1日であった.肺瘻のため7日以上のドレナージを必要とした症例は4例あり, うち3例はCOPD合併例であった.術後の在院期間は6日から19日で平均12±3.8日で全例軽快退院した.平均観察期間は34ヵ月で, 平均生存期間中央値 (MST) は35ヵ月, 5年生存率は63.7%であった.死亡原因は癌死2例 (局所再発1例, 脳転移1例), 呼吸不全死1例 (COPDにて術後3年) であった.局所再発は2例 (17%) に認められた.胸腔鏡下肺部分切除術は, 高リスクを伴い開胸術の施行が困難と判断される末梢性のT1肺癌に対し選択し得る一術式と考える.

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