日本呼吸器外科学会雑誌
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アスペルギルス膿胸治療後に発症した真菌性脊椎炎の1例
松岡 勝成伊東 政敏上野 陽一郎五十部 潤小林 孝暢近藤 展行
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1998 年 12 巻 4 号 p. 519-523

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抄録

アスペルギルス膿胸は稀な疾患であるが, アスペルギルス膿胸治療後の経過観察中に真菌による化膿性脊椎炎を発症した1例を経験したので報告する.症例は68歳, 男性で45年前に発症した血胸を基礎疾患としてアスペルギルス膿胸となった.肺剥皮術, 開窓術, 大網被覆術を行い, 抗真菌薬内服にて外来経過観察中, 突然下肢麻痺をきたし, 腰部MRI・ミエログラフィーにて化膿性脊椎炎と診断された.近医整形外科にて脊椎固定術を行ったところ, 膿からPenicilium属の真菌が検出された.化膿性脊椎炎は好中球減少時などの免疫力低下状態に頻発する.本例も膿胸に対する数度の手術が侵襲となり免疫力低下状態を形成したものと思われ, 胸部術後の合併症として真菌などの弱毒菌による化膿性脊椎炎も考慮する必要があると思われた.

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