12 巻 (1998) 5 号 p. 577-583
肺保存液中のHydroxyethyl starch (HES) の濃度が保存中・再潅流初期の肺水腫の程度に及ぼす影響を検討した.雑種成犬より心肺を摘出し, room airで換気しつつ4℃, 500mlのI群) modifiedCollins (CM) 液 (n=6), II群) CM液+3%HES (n=6), III群) CM液+6%HES (n=8), IV群) CM液+9%HES (n=5) でflushした.24時間冷却浸漬保存後, 左肺を分離して潅流モデル (換気量20ml/kg/回, 10回/分, room air, 送血量10ml/kg/分) に接続し, 2時間観察した.潅流前後に肺血管外水分量・組織蛋白量を測定, 潅流前後の組織所見を検討した.実験結果では, 2時間潅流後の肺血管外水分量がI群 : 88.9±2.1%, II群 : 86.6±2.3%, III群 : 84.6±1.7%, IV群 : 85.6±2.4%で, I-III, I-IV群間には有意差が認められた.組織蛋白量も2時間後でIII・IV群がI・II群より有意に低値であった.潅流前後の組織像はIV群で肺水腫が最も軽微で, やや高膠質圧の液の方が保存中・再潅流後の肺水腫を抑制することが示唆された.