抄録
手掌多汗症は若年齢層に好発する煩わしい疾病である.開胸法とは異なり, 内視鏡下交感神経切除術は低侵襲で確実な手技である.我々の施設で行った胸腔鏡下交感神経遮断術 (切除術, 焼灼術) に関し方法, 治療成績等を報告した.1997年7月~1999年1月の間に75例 (男性36例, 女性39例) に対し, 胸腔鏡下胸部交感神経遮断術 (Th2-4) (切除43例, 焼灼32例) を施行した.全身麻酔下仰臥位で両側とも腋窩の2個の穿刺孔で行った.胸腔鏡は10mm, 5mm, 2mmと次第に細径化し, 創も小さく, 美容上も優れ, より低侵襲な治療法となってきた.手掌の改善率は99.3% (149/150) で, 併存する足底多汗は54.7%の改善率であった.術後高頻度に発現する代償性発汗は64%であった.他の合併症は神経痛, 出血等で, criticalなものやHorner症状は認めなかった.術後アンケート調査で満足度は93.2点 (100点満点) であった.