2000 年 14 巻 7 号 p. 797-802
数回の開胸術にても治癒しない難治性肺瘻に対し, 大網被覆にて閉鎖し得た2例を経験した.症例1は49歳男性, 基礎疾患に慢性関節リウマチ及びリウマチ肺を有する気胸で, 5回の開胸術にても肺瘻は持続した.症例2は61歳男性, 肺炎に続発する膿胸治療中に生じた肺瘻で, 開窓術・剥皮術後の肺瘻に対し3回の開胸術を行ったが閉鎖しなかった.両例とも, 直接縫合, フィブリングルー塗布, 人工物被覆にても持続する肺瘻が, 最終的に有茎大網による被覆にて閉鎖した.感染のない難治性肺瘻に対しても大網被覆の適応が存在すると考えられた.