拡大胸腺摘出術のアプローチとして皮膚切開を下部正中小切開とするが, 従来どおりに胸骨を正中切開し, 胸腔鏡補助を加える事により切除範囲を十分に確保し得る術式を考案したので報告する.症例はいずれも全身型重症筋無力症の女性2例.皮膚切開は胸骨上棘から約8cmの部位より剣状突起部までの10cmとし, 胸骨を正中線にて離断した.両側開胸とし両側側胸壁から胸腔鏡を挿入可能とした.手術操作は正中創から主に直視下に行なったが両側横隔神経周囲~心臓周囲や甲状腺下極においては胸腔鏡の補助が有用であり標準的な拡大胸腺摘出術が施行可能であった.
下部正中小皮膚切開 (胸骨正中切開) による胸腔鏡補助下拡大胸腺摘出術は標準的な拡大胸腺摘出術の施行が可能で, かつ頚部における手術創がなく美容上も優れていると思われた.