15 巻 (2001) 6 号 p. 718-722
症例1は53歳, 男性で左肺癌に対して放射線化学療法に続き, 胸骨正中切開による左肺全摘を施行, その後乳糜胸が発生した.左開胸により胸管損傷部位を検索したが, 同定できず, 乳糜の漏出部位をデキソンメッシュとフィブリン糊で被覆した.しかし再発し, 乳糜縦隔の状態となったため右開胸による胸管結紮を行い, 治癒した.症例2は69歳, 男性で咽頭癌に対し, 腫瘍摘出と左頚部郭清の既往を有する.虚血性心疾患に対して左内胸動脈を用いた冠動脈バイパス後に乳糜胸が発生し, 保存的治療を行うも治癒しなかった.左開胸でアプローチするとバイパスグラフトが存在するため, その損傷を危惧し, 右開胸による胸管結紮を行い, 治癒した.このように胸管損傷部位を直接閉鎖できない場合は, 胸腔鏡下の方法が報告されているが, 右開胸による横隔膜直上での胸管結紮術が確実で有用な方法と考えられた.