日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
カルボプラチン, パクリタキセルを用いた術前放射線併用化学療法が奏効した局所進行非小細胞肺癌の2例
大政 貢柳原 一広大竹 洋介宮原 亮板東 徹田中 文啓長谷川 誠紀乾 健二北市 正則和田 洋巳
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 16 巻 4 号 p. 574-579

詳細
抄録
局所進行非小細胞肺癌に, carboplatinとpaclitaxelの少量分割投与と放射線併用術前治療が奏効した2例を報告する.症例1は71歳男性.右肺上葉にcT3N2M0の扁平上皮癌を, 左肺S6にcTINM0M0の肺癌疑いの病巣を認めた.CBDCA (AUC1.25) とTXL (70mg/m2) をweeklyに6週投与後, 右腫瘍に放射線照射40Gyを行い奏効した.照射後発症した放射線性肺臓炎, 帯状疱疹の軽快後, 右肺上葉切除術, 6週後に, 左肺S6区域切除術を施行した.左右肺共に扁平上皮癌であった.周術期に重篤な合併症は認めなかった.症例2は65歳女性.cT4N2M0の左肺下葉腺癌にて, CBDCA (AUC1.25) とTXL (70mg/m2) のweekly投与を2週行い更にTXLを40mg/m2に減量し4週投与と放射線照射50Gyを同時施行後, 左肺全摘術を施行した.周術期に重篤な合併症は認めなかった.CBDCAとTXLによる放射線照射併用した術前治療は本症例に対し奏効し副作用も容認しうる範囲内であった事より局所進行非小細胞肺癌に対し有効な治療法であると期待できる.
著者関連情報
© 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top