日本呼吸器外科学会雑誌
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1群リンパ節転移陰性, 2群リンパ節転移陽性肺癌切除例 (n1 (-) n2 (+) 例) のリンパ節転移状況と予後
福原 謙二郎中川 勝裕藤原 清宏塩野 裕之出口 寛安光 勉
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2002 年 16 巻 5 号 p. 609-614

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抄録

1977年1月から1998年12月までにND2以上の郭清又は縦隔鏡+ND1を施行してリンパ節転移状況が把握できた1521例中p-n2例は373例, n1 (-) n2 (+) 例は94例 (25.2%) であったが, 転移リンパ節遺残以外の理由で不完全切除となった14例を除く80例を対象として, リンパ節転移状況及び予後について検討した.縦隔リンパ節転移領域数別の5生率は1領域 (n=48), 2領域 (n=23), 3領域以上 (n=9) で各々38.0%, 26.2%, 11.1%で1領域と3領域との間に有意差を認め, n1 (-) n2 (+) 例においても縦隔リンパ節転移領域数は予後因子となりうると考えられた.中でも1領域症例はn1症例 (n=300, 5生率: 39.5%) と予後に差がなく, 一次リンパ節転移である可能性も示唆された.また (1) 群: 上, 中葉原発で上縦隔リンパ節のみ, 下葉原発で下縦隔リンパ節のみに転移する症例 (n=58, 全例完全切除),(2) 群: 上, 中葉原発で下縦隔のみ, 下葉原発で上縦隔のみへの転移例 (n=10, うち3例は不完全切除) の5生率は各々40.9%と15.0%で (1) 群の予後が有意に良好であった. (2) 群は近年提唱されている縮小郭清ではn0と診断される可能性があり, ND2bが必要な場合もあると考えられた.

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