2002 年 16 巻 5 号 p. 615-620
びまん性胸膜中皮腫64例の外科治療成績を術式別に検討した.a) 胸膜肺摘除術 (n=19): III期 (n=17) のMediansurvival time (MST) は9ヶ月, 2年生存率25%で, 全19例のDisease free interval (DFI) 中央値は7ヶ月であった.術後合併症を4例 (肺梗塞2例, 気管支断端瘻1例, 横隔膜ヘルニア1例) に認め, 肺梗塞の1例が在院死した.b) 胸膜切除術 (n=32): 1期 (n=7) のMSTは33ヶ月, 2年生存率57%, II期 (n=8) は各々15ヶ月, 47%, III期 (n=15) は8ヶ月, 29%であった.手術合併症を1例 (肺炎) に認めたが, 直死, 在院死はなかった.残りの13例は試験開胸・胸膜生検に終わった.b) 群の予後はI, II期例において比較的良好であったが, III期例についてはa) 群と同等で不良であった.外科治療単独の効果には限界があり, 今後はmultimodality therapyの一環として各術式の価値を再検討する必要がある.