日本呼吸器外科学会雑誌
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腫瘍径1cm以下の同時性両側性多発肺癌3症例の検討
林 栄一中野 貴之中島 成泰桝屋 大輝中島 尊岡本 卓劉 大革亀山 耕太郎山本 恭通黄 政龍横見瀬 裕保
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2003 年 17 巻 1 号 p. 18-24

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抄録

近年, CTの性能の向上により, 小さなスリガラス様陰影を見つける機会が増した.早期の同時性両側性多発肺癌の3症例を経験し, 各症例とも病巣の陰影は1cm以下で臨床病期はIA期であった.1cm以下の早期腺癌にリンパ節転移がみられないことや, 呼吸機能の温存を考慮し, 積極的縮小手術として3例全例に, 両側の拡大部分切除あるいは区域切除を施行した.病理組織診断は3例とも高分化型腺癌 (bronchiolo-alveolar carcinoma) で, 2例にはAAH (atypical adenomatous hyperplasia) も認められた.現在まで20~27ヵ月が経過したが, 3例とも再発を認めていない.同時性両側性多発肺癌に対する標準的治療は確立されていないが, 早期の同時性両側性多発肺癌に対して, 積極的縮小手術が適切と考えられた.

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