日本呼吸器外科学会雑誌
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胸腔内移動した骨固定用鋼線摘出の2例
浜中 喜晴三井 法真平井 伸司井坂 光宏水上 健友
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2003 年 17 巻 5 号 p. 605-608

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抄録

肩・鎖骨などの整形外科的手術で固定に用いる鋼線の術後の移動・迷入はまれな合併症であると言われているが我々は2例の胸腔内迷入症例を経験したので報告する.症例1は34年前に左胸鎖関節脱臼のため固定術を受けた56歳男性で, 他病で入院した際の胸部X線検査にて縦隔内に存在する金属性異物を指摘された.胸部CTでは前縦隔内大動脈弓部の前方に位置していたため, 胸腔鏡下摘出術を行った.症例2は右鎖骨骨折に対して経皮的整復固定術を受けた71歳女性で, 3ヵ月後に発熱のため撮影した胸部X線写真にて, キルシュナー鋼線 (2本) の移動を認めた.先端がそれぞれ肺実質内と縦隔内の血管の間に達していたため右開胸にて除去した.心血管系の損傷を起こして死亡した症例の報告もあり, 固定用鋼線の移動・迷入が確認された場合には症状の有無にかかわらず早期の摘出術が必要である.

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