日本呼吸器外科学会雑誌
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真の肺癌肉腫の1切除例
石川 将史毛受 暁史大竹 洋介奥村 典仁青木 稔
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2003 年 17 巻 5 号 p. 618-624

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抄録

症例は74歳男性.他院にて乱視の手術の際撮影した胸部X線・CTで右上葉に径約1cmの腫瘤影を指摘され, 胸部CTの再検で増大傾向を認めたため, 肺癌疑いで当院紹介受診した.術前検査で確定診断がつかず, 手術を行った.確定診断目的で右肺部分切除を行ったところ術中迅速病理診断にて癌肉腫が疑われ, 原発性と考えられたため引き続き右肺上葉切除・リンパ節郭清術を行った.術後病理組織で低分化な扁平上皮癌, 腺癌とともに分化した軟骨肉腫成分, 骨肉腫成分がみられ, 免疫組織学的染色でそれぞれ上皮性成分・間葉系成分であることが確認されたため, 本症例を真の原発性肺癌肉腫と診断した.リンパ節転移はみられず, 術後病期はpTIN0M0であった.完全切除と考えられ, 追加治療は行わなかった.術後約1年11ヵ月の現在外来にて経過観察中で, 再発を認めていない.肺癌肉腫は稀な腫瘍であるが, 報告例は進行症例が多く, 一般に予後が悪いとされる.本症例は末梢限局型で完全切除と考えられ, 長期予後が見込める珍しい症例であると考えられた.

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