日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
肝膿瘍を合併した慢性結核性膿胸の1例
佐藤 純管野 隆三藤生 浩一鈴木 弘行塩 豊樋口 光徳大杉 純後藤 満一
著者情報
キーワード: 膿胸, 肝膿瘍, 結核
ジャーナル フリー

2004 年 18 巻 2 号 p. 163-166

詳細
抄録

顕在化した慢性結核性膿胸が横隔膜を越えて炎症が波及し肝膿瘍を併発したと推察された稀な症例を経験したので報告する.症例は76歳男性.30歳時に右肺結核に対し人工気胸術の既往がある.38度台の発熱が出現し近医を受診.胸部単純レントゲン検査で, 右肺野の透過性の低下を認めた.胸部CTにて右肺の萎縮と石灰化を伴う厚い被膜に覆われた嚢胞性病変を認めた.19日後, 腹部CTにて右胸腔から横隔膜窩, 肝右葉に連続した低濃度域が出現し, 肝膿瘍を合併した慢性結核性膿胸と診断した.経皮経肝膿瘍穿刺ドレナージを行ったが発熱が持続したため, 胸腔ドレナージを追加した.その後解熱したが, 気漏が持続した.肝膿瘍, 膿胸腔いずれからも起炎菌を検出できなかった.大網・広背筋弁充填術, 胸郭形成術を施行した.術後4年の現在, 膿胸, 肝膿瘍の再発を認めていない.

著者関連情報
© 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top