8 巻 (1994) 7 号 p. 840-844
症例は48歳・男性で, 自動車部品の製造作業中に誤って鉄片を胸部に被った.従来の胸部検査の結果, 外傷性血気胸と診断されたが, 持続性血・気胸の原因検索のために緊急胸腔鏡検査を施行した.この緊急検査によって, 外傷性気胸と血胸の原因は同一肺実質内の鉄片による損傷であることが判明した.引き続き胸腔鏡下に鉄片を摘出し, 肺損傷部を自動縫合器で縫縮した.胸部外傷に対する緊急胸腔鏡検査は, 1) 心臓・大動静脈・肺動静脈の血管系や, 肺・気管・気管支・横隔膜の呼吸器系の損傷部位とその程度を鏡視下に直接確認することが可能である, 2) 更に, 引き続いて胸腔鏡下外科手術のみの手技で治療が可能か否かの方針決定に有用である.また, 3) 胸膣鏡下外科手術は創部が小さく, 手術侵襲も少なく, 早期離床・早期退院が可能である.