2022 年 44 巻 2 号 p. 84-94
本研究は,大学での学びの基盤となる初年次生のレポート・ライティング指導の方法を,デザイン研究アプローチによって検討しようとするものである.最初の実践では,レポート・ライティングのスキーマ形成を促すために,論文検索・分析タスクに取り組ませ,情報検索と同時にストーリーラインを作成させた.その結果,レポートの問題設定に効果が見られた.今回の実践では,表現にも着目させるタスクを取り入れた結果,形式面に対する効果も見られた.調査の結果から,学生が1人でレポートを書く際にも,実際の論文の形式を参照し,ストーリーラインを作成してから書き始めるなど,実践で体験したプロセスを意識して書いていることが示された.さらに,新しい発見を示すために書き,自分の疑問が解消されることに喜びを感じるなど,ライティングに向かう意識に影響が見られた.このことから,初年次生に対しても,レポートや論文を学問的文脈に位置づけた上で,実際の論文を用いたタスクを取り入れることにより,レポート執筆に必要なスキーマ形成が進むことが示唆された.