2023 年 45 巻 1 号 p. 105-110
本稿の目的は,現在開発が進められている拡張版Learning Space Rating System(LSRS)を実際の大学の学習環境で用い,インフォーマルな学習環境の評価指標としての有効性と課題,今後の活用可能性について考察することである.関西の中規模私立大学A大学の複数のラーニングコモンズを事例に,拡張版LSRSによる評価とKPT(Keep-Problem-Try)分析を行ったところ,大学の文脈に沿った学習環境の設置・運用・改修となっているか判断可能であった.またこの結果を根拠として,学習環境のプランニングやデザインの修正を行うことができた.一方で,インフォーマルな学習環境の多様性の評価に課題が見られた.また,アフターコロナのDX化への対応が求められる.