2024 年 46 巻 2 号 p. 51-61
コロナ禍を経て,企業の採用活動や学生の就職活動のオンライン化が進んでいる.本研究では,この急速な環境の変化に対し,X大学のキャリアセンターに所属する教職員が,どのように向き合おうとしているかについて,ジョブ・クラフティング(JC)の概念を用いて分析した.インタビュー調査の結果,9名全員にJC志向が確認された.彼らは学生をサポートしたいという願望と学生の成長をモチベーションに仕事を変化させており,自身の過去の経験やアイデンティティを学生支援に結び付けながら,仕事の意味を捉え直して環境の変化に対応していた.一方,志向されても実践されないJCが多数あることも明らかになった.実践の阻害要因として,職務資源の不足と職務要求の多さが語られた.具体的には,任期なしの場合,繁忙によってJCが後回しになり,任期ありという状況は「出しゃばっていいのか」とJCの実践を躊躇させ,研修がなく仕事の成果が雇用に反映されない状況では,敢えてタスクを追加しないと判断している様子がうかがえた.このことは学内外から期待される新しい役割を,キャリア支援者の側から主体的に引き受け,取り組む余地が大きくはないことを示唆している.