沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
報告
イラン南部沿岸域におけるゾーニングプラン策定の取組みの紹介
佐藤 剛
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2022 年 35 巻 3 号 p. 27-35

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抄録

要旨:イラン国ホルムズガーン州の沿岸域を対象に、生態系保全と人為活動の両立を図ることを目的としたゾーニングプランを、多様な現地ステークホルダーの参画の下策定した。ゾーニングプランは、①優先的に保全すべき生態系、②地域の人為活動、③生態系へのリスクおよび④ゾーニングの枠組みからなる4つの要素を検討した上で策定した。生態系および人為活動に関しては、詳細な現地調査を通して、保全の優先度が高い地域および地域住民の重要な活動域を解析・地図化した。生態系へのリスクは、InVEST Habitat Risk Assessment(HRA)というリスク評価モデルによりリスクが高い地域を抽出し、その結果を適宜ゾーニングの範囲を設定する際に活用した。そして、これらの検討結果を基に、最終的には、規制内容・程度の異なる計5つのゾーニング区分を設けたゾーニングプランを策定した。ゾーニングプランを策定する上で構築した手順や手法は、科学的データおよび客観的な評価に基づいた汎用性の高いものであり、他地域・国にも展開・適用できるものであると考える。

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© 2022 日本沿岸域学会
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