港湾物流分野においては「コスト面を含めて国際的に遜色のない水準のサービスの実現」を図り、日本の港湾の国際競争力を回復するため、スーパー中枢港湾構想といったハード面の対策や、規制緩和推進、諸手続きの電子情報化策といったソフト面での対策が講じられるなど大きな変革が行われている。そこで、本研究においては、港湾運送事業者が現状をどのように捉え、将来に向けた対策を考えているのかの意識の分析を通じて港湾物流の将来に向けた政策実現のためにどういった方策を採るべきかに役立てることが目的である。全国の港湾運送事業者約1000 社に対してアンケートを実施した結果、問題においては「仕事量の減少」、「ダンピング要求」を重視し、対策としては「自社が得意とする事業分野における差別化」、「規制緩和への対応」を重視していることがわかった。また港湾の規模で事業者を分類した場合、五大港の事業者が問題として「ダンピング要求」をより重要視するなど五大港と地方港の事業者の間で意識の差があることが明らかとなった。