2020 年 24 巻 1 号 p. 83-85
近年新興国では糖尿病患者数が増加しており,それらの国からの我が国への在留外国人数も増加している.そこで本研究では外国人糖尿病患者に対する療養指導において看護師が感じた不安を明らかにすることを目的とし,在留外国人の多い東京都と愛知県の糖尿病看護認定看護師への自記式質問紙調査を実施した.調査に回答を得られた36人(女性33人(91.7%),40~49歳14人(38.9%),50~59歳と30~39歳がそれぞれ11人(30.6%))を分析対象とした.外国人糖尿病患者に対して対象者が感じた不安は,「自分の指導・説明が伝わっているか」25人(86.2%),「食事療法を指示通りにできるのか」10人(34.5%),「インスリンの自己注射を指示通りにできるのか」9人(31.0%)であった.これらのことから,言語的な障壁から看護師―患者間でコミュニケーションの障害が生じ,患者が治療のために自己管理できるのか不安に感じていることが明らかとなり,多言語対応のためのシステムの整備が求められることが示唆された.