2014 年 14 巻 2 号 p. 2_1-2_15
多数のセンサによるモニタリングを実現するためのネットワーク同期型地震計を開発し、高密度振動観測システムを構築して、高層免震建物に実装した。本文では、システムの構成・特長と、観測データの利活用方法を提案するとともに、実測記録を例示しながらシステムの有意性を論じた。実環境と同等のネットワーク構成である試験環境におけるシステムの時刻同期誤差は最大でも4ミリ秒程度であり、対象建物の振動特性に対して十分に高い精度が確認された。システムの実装後は安定して地震記録が継続されており、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の加速度記録からは、高密度な地震計配置と高精度な時刻同期により、層間変位の分布が推定できることが示された。