2015 年 15 巻 7 号 p. 7_284-7_294
高経年化したアーチダムを観測対象とし、卓越振動数とその経時変動・地震時変動を把握することを通じて構造健全性モニタリングに資することを目的として微動・地震動の長期継続観測を実施した。3年半に亘る微動・地震動の継続観測データの分析から;1) 常時微動による卓越振動数のモニタリングによってアーチダムの構造健全性を評価できること、 2) 東北地方太平洋沖地震、およびその後の数々の大規模余震後においても観測対象ダムの構造健全性が維持されていたことを卓越振動数という数値によって客観的に提示できたこと、3) 卓越振動数が変化していないことは構造健全性の維持確認に加えて地震荷重が不変である確認にもなっており、地震後における耐震性検討が不要であることを示していること、など、重要な諸点が明らかになった。